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フィリピンのワーホリ事情を解説!留学・インターンについても要チェック
2025.07.14記事

欧米よりも物価が安く、海外生活のハードルが比較的低いフィリピンでワーホリを希望している方は、意外と多いのではないでしょうか。残念ながら現時点では、ワーホリでフィリピンに滞在することはできません。
しかし、留学やインターンシップなどであれば、長期滞在しながら語学習得を目指せます。また、他国でのワーホリに向けた準備も十分に進めらるでしょう。
本記事では、フィリピンのワーホリ事情や、ワーホリ以外の滞在方法、費用などについて解説します。フィリピンで語学習得と他国でのワーホリの準備をしたい方は、必見の内容です。
そもそもフィリピンでワーホリはできる?
2025年5月現在、ワーホリでフィリピンに滞在することはできません。滞在できない主な理由については、ワーホリ制度がないことが挙げられます。
フィリピンにワーホリ制度はない
そもそも、フィリピンにはワーキングホリデー制度というものがありません。ワーキングホリデー制度を利用して滞在できるのは、日本とワーキングホリデー協定を締結している国という条件があります。
フィリピンで海外生活を経験するには、ワーホリという選択肢ではなく、学生ビザを取得して語学学校に通う「フィリピン留学」やインターンシップ、現地企業に雇用されるための「就労ビザ」など、別の手段が必要です。
フィリピンにワーホリ制度がない理由
フィリピンにワーホリ制度がないことについて、明確な理由は公表されていません。
考えられる要因として、ワーホリ制度が経済的に発展した国同士で多く結ばれている点や、フィリピンの経済状況、治安の安定していないことなどが挙げられるでしょう。
また、人口が多く労働力が豊富なため、海外からの労働者を広く受け入れる必要性が低いことや、制度本来の目的である異文化交流や休暇と、就労のバランスといった点も影響している可能性があります。
英語力向上が目的なら「フィリピン留学」がおすすめ
海外での生活体験を通じて効率的に英語力を向上させたいのであれば、フィリピン留学がおすすめです。欧米諸国への留学と比較して学費や滞在費を大幅に抑えられる他、マンツーマンレッスンを中心とした、質の高い英語教育を受けられます。
フィリピン留学の特徴
フィリピン留学には、短期間での英語習得を実現する、独自の特徴があります。特徴をおさえておくことで、目的に合った留学プランを立てやすくなるでしょう。
マンツーマン授業の学校が多い
フィリピンの多くの語学学校では、生徒一人ひとりのレベルや学習ニーズに合わせたマンツーマン授業が豊富に提供されています。
欧米の語学学校では、グループレッスンが一般的です。そのため、自分の弱点や強化したいポイントを、集中的に指導してもらえる機会は限られます。対してフィリピンの語学学校では、経験豊富な講師と1対1で集中的に授業に取り組めるため、発音の矯正、文法の理解、会話力の向上など、個別の課題に合わせた学習が可能です。
さらに、グループレッスンと比較して発言する機会が格段に多く、短期間でも実践的なコミュニケーション能力を高められます。
ワーホリ準備にぴったりなコースもある
将来的にワーキングホリデーを検討している方にとって、フィリピン留学は、渡航前に必要な英語力を習得するのに適した環境です。
フィリピンの多くの語学学校では、海外生活を送る上で必要最低限な英語、ワーホリ先での仕事探しに役立つビジネス英語、面接対策などを対象としたコースが幅広く提供されています。
目的に合ったコースを選択することで、ワーホリ先で問題なく生活するための基礎的な英語力をしっかりと身につけられるでしょう。また、異文化理解やコミュニケーション能力を高めるためのアクティビティを提供している学校も多いので、ワーホリ生活への適応力を養う上でも、フィリピン留学はおすすめです。
留学にかかる費用
フィリピン留学の費用は、欧米主要国への留学と比較すると、コストパフォーマンスの高さが際立っています。
以下の表からもわかるように、3ヶ月の短期留学であれば約80〜146.5万円、1年の長期留学でも約297〜453万円と、比較的リーズナブルな価格で実現可能です。
項目 | 3ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
学費 | 約65~120万円 | 約120~200万円 | 約240~370万円 |
滞在費 | 0円(学費に含む) | ||
食費 | 0円(学費に含む) | ||
生活費 | 約8~13.5万円 | 約15~27万円 | 約33~51万円 |
渡航費 | 約4~7万円 | ||
保険料 | 約3~6万円 | 約10~15万円 | 約20~25万円 |
合計 | 約80~146.5万円 | 約149~249万円 | 約297~453万円 |
※上記の他、留学期間に応じて、滞在ビザの延長費用やSSP(就学許可証)、ACR I-Card(外国人登録証)といった各種証明書の取得費用がかかります。
フィリピン留学の費用が英語圏への留学よりも安い理由は、学費に滞在費と食費が含まれている点が挙げられます。滞在先と毎日の食事は学校から提供され、自分で準備する必要がないので、食費はほとんどかかりません。欧米圏への留学では自身で準備しなければならず、滞在費と食費が高額になるため、フィリピン留学の経済的なメリットは大きいと言えます。
また、フィリピンの物価が比較的安いことも費用を抑えられる要因と言えるでしょう。生活費や交通費などが抑えられるため、最低限の出費で充実した留学生活を過ごせます。さらに、講師や設備にかかるコストも他国と比べて格段に安く、マンツーマンレッスンを安価に受けられるのです。
実行前に必要な準備
フィリピン留学の前に必要な準備を、以下の表にまとめています。申請や取得時に必要なものと、現地で必要となるものに分かれて記載しているので、表を参考に準備を進めてください。
申請・取得が必要なもの
項目 | 概要 |
パスポートの取得 | 有効残存期間が留学期間+6ヶ月以上あるか確認 |
航空券の購入 | 往復分の航空券が必須。留学期間に合わせて日程を確認 |
ビザ・SSP(就学許可証) | 留学期間に応じて必要なビザの種類を確認し申請、30日以内の留学でもSSP(就学許可証)が必要 |
海外旅行保険 | 病気や怪我、盗難などに備えて加入を推奨、補償内容や期間をしっかり確認 |
航空券は、出発日が近づくにつれて価格が高騰する傾向があるため、留学の計画が具体的に決まり次第、できるだけ早めに予約しましょう。
ビザやSSP(就学許可証)などは、語学学校が申請手続きをサポートしてくれることが一般的ですが、確実ではありません。必ず事前に確認しましょう。
海外旅行保険は任意ですが、予期せぬ病気や事故に備えて加入することを推奨します。保険の内容はしっかりと確認し、自身の留学期間や健康状態に合ったプランを選ぶことが重要です。
現地で必要となる持ち物
以下の表では、現地で必要となる持ち物を記載しています。
項目 | 概要 |
筆記用具 | ノート、ペン、シャープペンシル、消しゴムなど |
電子辞書・翻訳機 | スマートフォンアプリでも可 |
参考書・教材 | 基礎的な文法書や単語帳など、必要に応じて用意 |
タブレット・PC | 学校によっては推奨または必須の場合あり |
衣類 | フィリピンの気候に合わせて夏服中心だが、冷房対策として薄手の羽織ものも用意 |
洗面用具 | シャンプー、リンス、歯ブラシ、歯磨き粉、石鹸など |
常備薬 | 風邪薬、胃腸薬、鎮痛剤、アレルギー薬など、普段服用している薬を持参、英文の説明書もあると安心 |
日焼け止め・虫除け | フィリピンの日差しは強いので日焼け止めは必須 |
変圧器・変換プラグ | 日本の電化製品を使用する場合に必要、フィリピンの電圧は220V、プラグの形状は主にAタイプ |
その他(SIMフリースマホ等) | SIMフリーのスマートフォンやモバイルWi-Fiルーターがあると便利、現地SIMカードの購入も検討 |
現金(フィリピンペソ) | 空港から滞在先までの交通費や、到着後すぐに必要な分の現金を用意 |
クレジットカード・デビットカード | 複数枚用意しておくと安心、海外キャッシング機能の有無も確認 |
海外送金手段 | 長期滞在の場合は、海外送金サービスなどの利用を検討 |
現地情報の収集 | 入学する学校の規則や持ち物リスト、フィリピンの気候、文化、治安、交通手段などを事前に確認 |
緊急連絡先 | 日本の家族や友人、留学エージェント、学校の緊急連絡先を控えておく |
フィリピンで使用される通貨(ペソ)への両替は、現地に到着後、タクシーや食事で使うことも想定して、ある程度日本で行っておくと安心です。また、常夏の国であるフィリピンでの生活に必要な衣類や日焼け止め、虫除けなどの日用品も忘れずに準備しましょう。
海外での就労が目的なら「インターンシップ」がおすすめ
ワーキングホリデー制度がないフィリピンでの就労を目的とするなら、インターンシップがおすすめです。
現地の企業で実際に働く経験は、将来的なキャリア形成において貴重な財産となり、異文化理解を深める絶好の機会にもなります。また、英語環境での就労は、実践的な語学力の向上も期待できるでしょう。
フィリピンでのインターンシップの特徴
フィリピンでのインターンシップは、日本人が海外で就労経験を積む上で、いくつか特徴があります。以下3つの特徴をを理解することで、自身のキャリアプランに合ったインターンシップを見つけやすくなるでしょう。
日本人でもできる職種
フィリピンでのインターンシップには、日本人でもできる職種がいくつか存在します。例えば日系企業や、日本とビジネス上の繋がりが強い企業なら、日本人を対象とした求人が多い傾向です。
具体的には、語学学校や日系企業のコールセンター、カスタマーサポート業務、ホテル、日本市場を担当する営業アシスタントなどが挙げられるでしょう。近年では、旅行代理店やIT関連企業など、より多様な分野でのインターンシップの機会も増えつつあります。
基本は無給だが有給のところもある
フィリピンのインターンシップは、無給で行われることが一般的です。
インターンシップは、主に就労経験を積むことや英語環境に慣れることを目的としているので、基本的に給与は期待できません。しかし、一部の外資系企業や、専門性の高い職種、あるいは比較的長期のインターンシップなどでは、交通費や食費などの手当が支給されたり、ごく少額の給与が支払われたりすることもあります。
無給ではあるものの、ほとんどの場合で滞在費と食費は就業先が用意するので、現地で生活する際の出費は必要最低限に抑えられるでしょう。
職場によっては英語の勉強ができるところもある
選ぶ職場次第では、働きながら実践的な英語力を向上させる機会を得られる場合もあります。
例えば、多国籍なスタッフが働くグローバルな環境や、英語を公用語として使用されている職場では、日常業務を通して自然と英語に触れる時間が増えるでしょう。積極的に同僚とコミュニケーションを取ったり、分からないことは積極的に質問したりすることで、座学だけでは得られない生きた英語を習得できます。
また職場によっては、英語の研修プログラムや学習支援制度が用意されている場合も。インターンシップ先を選ぶ際には、英語の使用頻度や学習サポートの有無なども考慮に入れると、より効果的に英語力を伸ばせるでしょう。
インターンシップにかかる費用
フィリピンでのインターンシップにかかる費用は、留学と同様に、期間やプログラム内容、滞在方法などによって大きく異なります。
項目 | 6ヶ月 | 1年 |
滞在費 | 0円(学費に含む) | |
食費 | 0円(就業先より提供) | |
生活費 | 約15~27万円 | 約33~51万円 |
渡航費 | 約4~7万円 | |
保険料 | 約10~15万円 | 約20~25万円 |
合計 | 約29~49万円 | 約57万~83万円 |
6ヶ月間のインターンシップであれば約29〜49万円、1年間であれば約57〜83万円の費用がかかることを想定しておきましょう。
滞在費と食費は、インターンシッププログラムに含まれているか、別途自己負担となることが基本です。また、留学エージェントで働くインターンシップでは、ビザ申請サポートや渡航前後のサポートを行ってくれる場合があります。
実行前に必要な準備
フィリピンのインターンシップに参加するための準備は、「2-3.実行前に必要な準備」で解説した手続きや持ち物の他に、以下の就労許可証や滞在ビザの延長申請が必要です。
項目 | 概要 |
SWP(特別就労許可証) | フィリピンで就労をする場合に、必ず取得しなければならない許可証 |
ACR-I-CARD(外国人登録証) | 60日以上フィリピンに滞在する場合に取得が必要 |
AEP(外国人雇用許可証) | 180日以上フィリピンで働く外国人が取得しなければならない許可証 |
ECC(出国許可証) | 6ヶ月を超えてフィリピンに滞在する場合に取得が必要 |
上記の申請手続きについて、基本は就業先やエージェントが申請手続きをサポートもしくは代行してくれます。なお、180日以上有給のインターンシップに参加する場合は、上記の証明書の他に就労ビザが必要です。
海外生活をしたいなら就労ビザの取得も視野に入れよう
フィリピンで長期滞在して働くことを希望するなら、就労ビザの取得も選択肢の一つです。就労ビザを取得することで、安定した収入を得ながら生活でき、長期的なキャリア形成を目指せます。
ただし、就労ビザの取得は他の滞在方法と比較して手続きがやや複雑で、一定の条件を満たす必要があるため、入念に情報を収集した上で準備を進めることが重要です。
就労ビザとは
就労ビザとは、外国人がその国で合法的に働くために、就労する国の政府が発行する正式な許可証です。
フィリピンで給与を得て働くためには、原則として就労ビザを取得することが義務付けられています。観光ビザや学生ビザなどの短期滞在ビザでは、就労活動は一切認められていません。
フィリピンの就労ビザには、雇用期間、雇用主の種類、職務内容、申請者の資格などに応じて複数の種類が存在します。最も一般的なのは、フィリピン国内の企業に雇用される外国人を対象とした就労ビザ9(g)です。就労ビザ9(g)を取得することで、原則として雇用契約期間中はフィリピンに合法的に滞在して働けます。
特定のプロジェクトや短期的な業務の場合はSWP(特別就労許可証)でも就労可能ですが、有給かつ180日以上の長期的な就労を目指す場合は、就労ビザの取得が必要です。
就労ビザの条件
一般的な就労ビザ9(g)の取得条件としては、フィリピン国内に合法的に登記された企業からの正式な雇用オファー(内定)を経て、雇用契約書が締結されていることが挙げられます。個人が直接フィリピン政府に就労ビザを申請することはできません。
また、必須条件ではありませんが、雇用される予定の職務内容に見合った専門性やスキルを有していることも重要視されます。企業によっては、特定の資格や業務経験、大卒資格、語学力などを求める場合も。
さらに、雇用主となるフィリピン企業側がフィリピン国内で適切な人材が見つからないなど、外国人労働者を雇用する必要性をフィリピン労働雇用省(DOLE)や入国管理局(BI)に対して明確に示すことが必要です。
その他、申請者本人については犯罪歴がないこと、健康状態が良好であることなども一般的な要件として求められることがあります。
申請費用
フィリピンの就労ビザ申請にかかる費用は、申請するビザの種類、申請を代行するエージェント、そして手続きの進捗状況などによって大きく変動します。
一般的に、就労ビザ9(g)とAEP(外国人雇用許可証)、ACR I-Card(外国人登録証)の3つを取得するのに約6〜9.5万円の費用がかかります。内訳としては、以下の通りです。
項目 | 費用 |
就労ビザ9(g) | 約2.8~6.3万円 |
AEP(外国人雇用許可証) | 約2.3 |
ACR I-Card(外国人登録証) | 約8,750円 |
就労ビザは、申請から取得までに3〜6ヶ月程度かかるため、申請中は観光ビザの延長が必要です。就労ビザとAEP(外国人雇用許可証)の有効期限は、スポンサー企業との契約期間によって決定されます。ビザや許可証などの手数料は、予告なく変更される可能性があるため、申請を行う際には必ず最新の情報を関連機関に確認するようにしましょう。
申請方法
フィリピンの就労ビザを申請する方法は、以下の流れで進めていきます。
1. 必要書類の準備 2. AEP(外国人雇用許可証)の取得 3. 申請書を提出・面談の実施 4. 就労ビザの支給 |
フィリピンの就労ビザの申請手続きは、原則として雇用主となるフィリピンのスポンサー企業が主体となって進めることが一般的です。
フィリピンの企業が外国人労働者を雇用する意思を決定した後、フィリピン労働雇用省(DOLE)に対してAEPを申請し、外国人労働者は必要書類の準備を進めます。
DOLEより許可が降りてAEPが発行された後、雇用主は入国管理局に対して、外国人労働者のための就労ビザを申請。その際、雇用契約書、申請者のパスポートのコピー、職務経歴書など、多岐にわたる書類の提出が求められます。提出書類は原則として英語で作成する必要があるため、雇用主となる企業と密に連携を取りながら、計画的に進めましょう。
申請書を提出した後、必要と判断されれば面接が実施され、就労ビザが支給されます。
まとめ
フィリピンには、残念ながらワーキングホリデー制度は存在しません。しかし、語学留学やインターンシップ、就労ビザを取得して働くなど方法であれば、フィリピンに滞在しながら英語の習得や就労が可能です。
欧米などと比較して、留学コストは低く抑えられますし、インターンシップや就労についても、日本人を対象とした求人が多いことから、ハードルも極端に高くはありません。それぞれの制度には特徴や費用、必要な準備が異なるので、ご自身の目的や状況に合わせて最適な方法を選択してください。