バロットってどんな料理?フィリピンで一度は挑戦したいローカルフード

2025.09.30記事

フィリピン留学や旅行を計画している方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれない「バロット」。SNSやYouTubeで「挑戦系グルメ」として紹介されることも多く、その見た目から「ちょっと怖い…」と感じる方も多いのではないでしょうか。

しかし、バロットはフィリピンの人々にとって日常的に親しまれている大切な食文化の一つです。栄養価が高く、滋養強壮に良いとされ、仕事終わりのおつまみや夜食として愛されています。

この記事では、バロットの基本情報から食べ方、栄養価、そして観光客が安心して挑戦するためのポイントまで、詳しくご紹介します。フィリピンでの特別な体験を、不安なく楽しんでいただけるようサポートいたします。

フィリピンのバロットとは?

バロットの基本情報

バロット(Balut)とは、孵化直前のアヒルの卵を加熱した食べ物です。卵の中には、ある程度成長した胚が入っており、骨や羽毛が形成されている状態のものもあります。

フィリピンをはじめとする東南アジア諸国で広く食されており、特にフィリピンでは国民的なストリートフードとして定着しています。夕方から夜にかけて、街中で「バロット!」と声をかけながら売り歩く行商人の姿は、フィリピンの風物詩となっています。

項目内容
正式名称バロット(Balut)
主な材料アヒルの有精卵(孵化16〜18日程度)
調理方法茹でる(約20〜30分間)
主な産地フィリピン全土、特にルソン島が有名
価格帯15〜25ペソ(約40〜70円)程度
販売場所屋台、路上販売、市場、一部のレストラン

バロットの歴史は古く、中国から東南アジアに伝わったとされています。フィリピンでは数百年前から食べられており、庶民の貴重なタンパク源として、また精力増強の効果があるとして親しまれてきました。

バロットはどんな時に食べる?

フィリピンの人々は、さまざまなシーンでバロットを楽しんでいます。

シーン詳細
仕事終わりのおつまみビールと一緒に楽しむ定番の組み合わせ。居酒屋のような雰囲気で友人と語らいながら食べることが多い
夜食として夜遅くまで勉強や仕事をする際のエネルギー補給として重宝される
スタミナをつけたい時疲労回復や体力増強を目的に、意識的に食べる人も多い
友人や家族との団らんみんなで集まって食べる社交の場としても機能している
お祭りやイベント地域のお祭りでは必ずと言っていいほど屋台が出店する

特に男性の間では「精力がつく食べ物」として認識されており、デート前や大切な日の前夜に食べる習慣もあります。また、妊婦さんが栄養補給のために食べることも珍しくありません。
一方で地域によっては妊娠中の栄養食として食されることもあるが、体質や衛生状況に左右されるため、妊娠中は医療専門家に相談をしてください。

観光客の方は、フィリピン文化を体験する「チャレンジグルメ」として挑戦することが多いですが、現地の人々にとっては日常の一部なのです。

バロットの特徴と味わい

他にも色々な種類がある

バロットには、孵化の進行度合いによっていくつかの種類があります。

種類孵化日数特徴おすすめ度(初心者向け)
ペナイ(Penoy)〜14日胚の形成が少なく、ほぼ固ゆで卵に近い状態。見た目の抵抗感が少ない★★★★★
16日目のバロット16日前後胚の形状がまだ明確でなく、初心者でも比較的挑戦しやすい★★★★☆
18日目のバロット18日前後最も一般的なバロット。胚の形がはっきりしており、骨や羽毛も感じられる★★★☆☆
20日以上のバロット20日以上かなり成長した状態。羽毛や骨がしっかりしており、上級者向け★★☆☆☆

初めて挑戦する方には、ペナイや16日目のバロットがおすすめです。見た目の抵抗感が少なく、味わいも比較的マイルドなため、心理的なハードルが低くなります。

また、地域によっても微妙な違いがあり、パタロン(Patalón)という鶏卵版のバロットも存在します。アヒルの卵よりも小ぶりで、味わいもやや淡白です。

実際の味や食感は?

多くの方が気になるのが「実際どんな味なの?」という点でしょう。

要素詳細
スープ部分卵の中にある液体は、濃厚で旨味が強く、鶏ガラスープのような風味。塩気があり美味しいと感じる人が多い
黄身部分通常の茹で卵の黄身よりも濃厚でクリーミー。レバーのようなコクがある
白身部分やや硬めで弾力があり、噛み応えがある。味は淡白
胚の部分鶏肉に似た食感で、ややジューシー。内臓のような独特の風味を感じることもある
全体的な印象想像よりもクセが少なく、「美味しい」と感じる観光客も多い

実際に食べた観光客の多くは「見た目のインパクトほど味は強烈ではない」「むしろ美味しかった」という感想を持ちます。濃厚な旨味と独特の食感が癖になり、リピートする方も少なくありません。

ただし、人によっては胚の部分の食感や風味に抵抗を感じることもあります。無理をせず、自分のペースで楽しむことが大切です。

バロットの食べ方

バロットには「現地流の正しい食べ方」があります。このステップに従うことで、より美味しく、そして安全に楽しむことができます。

ステップ手順ポイント
1. 殻の上部に穴を開ける卵の丸い方(空気室がある側)をスプーンやコインで軽く叩いて穴を開ける割る範囲は500円玉サイズ程度。一気に割らず、少しずつ広げる
2. スープを飲む開けた穴から中のスープをすする一番美味しい部分とされる。塩や酢を加えても良い
3. 殻を剥くスープを飲み終えたら、残りの殻を丁寧に剥いていく熱いので注意。少し冷ましてから剥くのも可
4. 中身を食べる黄身、白身、胚の順に食べるのが一般的調味料をつけながら少しずつ味わう
5. 胚は最後に抵抗がある場合は無理に食べなくてもOK現地の人でも胚を残す人はいる

一緒に食べられる調味料や飲み物

バロットをより美味しく楽しむために、フィリピンの人々が好んで使う調味料と飲み物をご紹介します。

定番の調味料

調味料特徴使い方
最もシンプルで一般的スープを飲む前に少量振りかける
酢(Suka)フィリピン料理の定番調味料スープや中身に直接かけて酸味をプラス
スパイシービネガー唐辛子入りの酢ピリッとした刺激が欲しい時に
醤油日本人にも馴染みやすい味中身につけて食べる

相性の良い飲み物

飲み物相性理由
ビール★★★★★フィリピンで最も定番の組み合わせ。濃厚な味わいをビールがさっぱりとさせる
サンミゲルビール★★★★★フィリピンの国民的ビール。バロットとのペアリングは文化として定着
ソフトドリンク★★★☆☆お酒が飲めない方におすすめ。炭酸系がさっぱりして良い
温かいお茶★★★☆☆胃に優しく、濃厚な味わいを中和してくれる

現地の人々は、友人たちとビールを片手にバロットを囲むのが定番のスタイルです。観光客の方も、この文化を体験してみると、より深くフィリピンの夜を楽しめるでしょう。

バロットを食べるメリット

バロットは「ただの珍味」ではなく、フィリピンの人々が日常的に食べる理由があります。それは、非常に高い栄養価と健康効果です。

高い栄養価と健康効果

栄養素含有量(目安)効果・効能
タンパク質1個あたり約14g筋肉の形成、疲労回復。卵と鶏肉の両方の栄養が摂取できる
ビタミンA豊富に含有視力保護、皮膚や粘膜の健康維持、免疫力向上
ビタミンB群特にB12が豊富エネルギー代謝の促進、神経系の健康維持、貧血予防
カルシウム通常の卵の約2倍骨や歯の強化、成長期の子供や妊婦に有益
鉄分豊富に含有貧血予防、疲労回復、女性の健康維持に重要
亜鉛含有量が高い免疫機能の強化、味覚の正常化、男性機能の維持

伝統的に認められている効果

効果詳細
精力増強フィリピンでは「天然のバイアグラ」とも呼ばれ、滋養強壮効果が高いとされる
疲労回復高タンパク・高ミネラルで、肉体疲労時のエネルギー補給に最適
美肌効果ビタミンAやコラーゲンが豊富で、肌の健康維持に役立つ
妊婦の栄養補給カルシウムや鉄分が豊富なため、妊娠中の女性が摂取することも多い
風邪予防免疫力を高める栄養素が豊富で、体調管理に役立つ

栄養価の面では、通常の鶏卵と比較して、タンパク質やミネラルの含有量が高くなっています。これは、胚が成長する過程で栄養が濃縮されるためです。

フィリピンの人々が夜遅くまで働いた後にバロットを食べるのは、この高い栄養価による疲労回復効果を実感しているからなのです。

観光客が挑戦するときの注意点

バロットに挑戦したい観光客の方が最も気になるのが「衛生面は大丈夫?」という点でしょう。安心して楽しむための注意点をまとめました。

衛生面や安全性について

チェック項目確認ポイント理由
販売場所の選定人気のある屋台や、地元の人が多く利用している店を選ぶ回転率が高く、新鮮なバロットが提供される可能性が高い
殻の状態確認ヒビや割れがないか、異臭がしないかをチェック殻が破損していると細菌が侵入している可能性がある
温度確認しっかり熱々の状態で提供されているか十分に加熱されていれば、ほとんどの細菌は死滅する
色とにおい中身が変色していたり、異臭がする場合は食べない腐敗や変質のサインである可能性
販売時間帯夕方から夜にかけての新鮮な時間帯に購入朝から放置されているものは避ける

具体的な安全対策

対策実践方法
信頼できる場所で購入ホテルのスタッフや留学先の学校スタッフにおすすめの場所を聞く。観光客向けのレストランでも提供している店がある
自分で選ぶ複数のバロットから選べる場合は、殻がきれいで重みのあるものを選ぶ
手洗いの徹底食べる前後に必ず手を洗う。ウェットティッシュを携帯すると便利
体調を整えて胃腸の調子が悪い時や、疲労が溜まっている時は避ける
少量から試す初めての場合は1個だけにして、体の反応を見る
水や薬の準備万が一に備えて、飲料水や胃腸薬を携帯しておく

こんな時は避けましょう

  • 殻が割れていたり、ヒビが入っている
  • 異臭や変な匂いがする
  • 常温で長時間放置されていた様子がある
  • 販売者の衛生管理が明らかに不十分
  • あなた自身の体調が優れない

フィリピンでバロットによる食中毒が頻繁に起こるわけではありませんが、慣れない環境での食事には常に注意が必要です。現地の人々と同じように、常識的な判断をすることが大切です。

初心者におすすめの挑戦方法

方法メリット
現地の友人と一緒に安全な店を知っている、食べ方を教えてもらえる、不安が軽減される
留学先の仲間とみんなでチャレンジすることで楽しい思い出になる
観光客向けレストラン衛生管理がしっかりしている、雰囲気が整っている、価格は高めだが安心

無理をせず、自分のペースで挑戦することが、バロット体験を楽しい思い出にする秘訣です。

よくある質問(FAQ)

バロットとオビロンの違いは?

項目バロット(Balut)オビロン(Ovalon)
定義孵化直前の有精卵を茹でたものほぼ孵化した状態の卵。ヒナの形がより明確
孵化日数16〜18日程度20日以上
胚の状態骨や羽毛が形成されつつある段階完全に近い形で形成されており、より鶏に近い
食感柔らかく、まだ卵の要素が強いより硬く、肉質が強い
一般的な認知フィリピンで最もポピュラーなストリートフード上級者向けとされ、挑戦者は少ない
味わい卵とお肉の中間的な味より鶏肉に近い味わい

オビロン(地域によってはBalut sa putiと呼ばれることも)は、バロットよりもさらに成長が進んだ状態の卵です。羽毛がしっかり生えており、くちばしや足の形もはっきりしているため、見た目のインパクトはバロット以上です。

初心者の方は、まずバロットから挑戦することをおすすめします。オビロンは、バロットを経験して「もっと挑戦したい!」と思った方向けです。

他に孵化した卵を食べる国はどこですか?

孵化卵を食べる文化は、東南アジアを中心に広がっています。

国・地域呼び名特徴
ベトナムホビロン(Hột vịt lộn)フィリピンのバロットと非常に似ているが、ベトナムではハーブ(ラウ・ラム)と一緒に食べるのが一般的
カンボジアポンティアコーン(Pong tea khon)アヒルの卵を使用。屋台での販売が盛んで、現地の人々の日常食
ラオスカイ・ルーク(Khai Luk)カンボジアやベトナムと似た形式で食される
中国(一部地域)毛蛋(マオダン)主に南部地域で食べられる。バロットの起源とも言われる
タイ(一部地域)カイ・ケム(Khai Khem)他の東南アジア諸国ほど一般的ではないが、一部地域で食される

特にベトナムのホビロンは、フィリピンのバロットと双璧をなす存在です。ベトナムでは独特のハーブと一緒に食べることで、風味がよりさっぱりとし、初心者でも食べやすくなっています。

この文化は古くから東南アジアに根付いており、貴重なタンパク源として、また滋養食として受け継がれてきました。国や地域によって食べ方や調味料に違いがあり、それぞれの文化的背景が反映されています。

東南アジア旅行の際には、各国のバロット文化を比較してみるのも面白い体験になるでしょう。

まとめ

バロットは、フィリピンを代表するローカルフードであり、単なる「珍味」ではなく、現地の人々の生活に深く根付いた食文化です。

孵化直前のアヒルの有精卵を茹でたバロットは、見た目のインパクトから敬遠されがちですが、実際には高い栄養価を持ち、濃厚な旨味と独特の食感が楽しめる料理です。タンパク質やビタミン、ミネラルが豊富で、疲労回復や滋養強壮に効果があるとされています。

初めて挑戦する方は、ペナイや16日目のバロットから始めることをおすすめします。現地流の食べ方を守り、信頼できる場所で購入することで、安心して楽しむことができます。塩や酢などの調味料、そしてビールと一緒に味わうのがフィリピン流です。

衛生面に注意しながら、無理をせず自分のペースで挑戦することが大切です。バロット体験は、フィリピン文化をより深く理解し、現地の人々との距離を縮めるきっかけになるでしょう。

フィリピン留学や旅行の際には、ぜひ勇気を出してバロットに挑戦してみてください。きっと忘れられない特別な思い出になるはずです。

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