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フィリピン渡航の全て!手続きから注意点まで
2025.09.30記事

フィリピンへの渡航を検討されている方にとって、ビザは必要なのか、どんな手続きが必要なのか、そして現地で気をつけるべきことは何なのか――。こうした疑問を解消せずに渡航を決めることはできません。
本記事では、フィリピン渡航に関する手続きから現地での注意点まで、必要な情報を体系的にまとめました。ビジネスチャンスを求める方も、語学留学を考えている方も、この記事を読めばフィリピン渡航の全体像が明確になり、具体的な準備を進められるようになります。
それでは、フィリピン渡航に必要な情報を順番に見ていきましょう。
フィリピン渡航の全体像を把握しよう
フィリピンへの渡航には、いくつかの重要な手続きがあります。まず全体の流れを理解することで、スムーズに準備がすすめられます。
フィリピン渡航の基本的な流れは以下の通りです。
ステップ | 内容 | タイミング |
1. ビザの確認 | 渡航目的と滞在期間に応じたビザの要否を確認 | 渡航の3ヶ月前 |
2. 航空券の手配 | 往復航空券または第三国への出国チケットの購入 | 渡航の1〜2ヶ月前 |
3. eTravelの登録 | オンラインで健康申告と税関申告を完了 | 出発の72時間前〜到着まで |
4. 必要書類の準備 | パスポート、ビザ、予防接種証明書などを準備 | 出発の1週間前までに |
5. 入国審査 | 現地空港で入国審査と税関検査を受ける | 到着時 |
eTravelの登録は必須
フィリピン政府は、2024年より全ての入国者に対してeTravelシステムへの登録を義務付けています。これは従来の紙の健康申告書と税関申告書に代わるオンラインシステムです。
eTravelの特徴を以下の表にまとめました。
項目 | 詳細 |
登録必須対象者 | フィリピンに入国する全ての渡航者(国籍問わず) |
登録可能期間 | 出発の72時間前から到着まで |
有効期間 | 登録完了から72時間 |
登録方法 | オンラインで健康状態と税関申告を入力 |
登録後 | QRコードが発行され、入国時に提示 |
費用 | 無料 |
eTravelの登録を忘れると入国時に手続きが遅れる可能性があるため、必ず出発前に完了させておきましょう。
フィリピン渡航目的別のビザの準備
フィリピンへの渡航には、目的と滞在期間によってビザの要否が変わります。ここでは主なケース別にビザの準備方法を解説します。
ビザの種類について
フィリピンのビザは渡航目的によって複数の種類があります。まずは基本的なビザ免除措置から確認しましょう。
日本国籍の方がフィリピンに渡航する場合、以下の条件を満たせばビザなしで入国できます。
条件 | 詳細 |
滞在期間 | 30日以内 |
パスポート有効期限 | 滞在日数+6ヶ月以上 |
往復航空券 | 帰国便または第三国への出国チケットが必要 |
入国回数 | 制限なし(ただし頻繁な出入国は審査が厳しくなる可能性あり) |
30日を超える滞在を予定している場合は、事前にビザを取得するか、現地で延長手続きを行う必要があります。
主なビザの種類は以下の通りです。
ビザの種類 | 対象者 | 滞在可能期間 | 取得場所 |
観光ビザ(9A) | 観光目的の渡航者 | 最長59日(事前取得の場合) | 在日フィリピン大使館・領事館 |
観光ビザ延長 | 30日以上滞在する観光客 | 現地で最長3年まで延長可能 | フィリピン移民局 |
学生ビザ(9F) | 長期留学生 | 留学期間に応じて | 在日フィリピン大使館 |
就労ビザ | 現地で就労する方 | 雇用契約期間に応じて | スポンサー企業を通じて申請 |
特別居住退職者ビザ(SRRV) | リタイアメント目的 | 無期限 | フィリピン退職庁(PRA) |
短期留学及び短期語学留学での渡航
語学学校などに短期留学する場合、滞在期間によってビザの扱いが異なります。
留学期間 | 必要なビザ | 手続き方法 |
30日以内 | ビザ不要 | パスポートと往復航空券のみで入国可能 |
31日〜59日 | 観光ビザ(事前取得)または現地延長 | 日本で事前取得するか、現地で延長手続き |
60日以上 | 特別就学許可証(SSP)+観光ビザ延長 | 語学学校がSSPを手配、ビザは現地で延長 |
特別就学許可証(SSP)は、フィリピンで合法的に勉強するために必要な許可証で、語学学校が代行して申請してくれるケースがほとんどです。費用は約6,500ペソ(約17,000円)程度です。
また、59日を超える滞在の場合は、ACR I-Card(外国人登録証)の取得も必要になります。これも語学学校が手続きをサポートしてくれることが一般的です。
バリクバヤン・プログラム
バリクバヤン・プログラムは、フィリピン人の家族や親族と一緒に渡航する外国人に適用される特別なプログラムです。
項目 | 内容 |
対象者 | フィリピン国籍者の配偶者、子ども、両親、兄弟姉妹 |
同伴条件 | フィリピン国籍者と同じ便で入国する必要がある |
滞在期間 | 最長1年間ビザなしで滞在可能 |
必要書類 | パスポート、往復航空券、家族関係を証明する書類 |
入国時の手続き | 入国審査でバリクバヤン・プログラムの利用を申告 |
このプログラムを利用すれば、通常30日のビザ免除期間が1年に延長されるため、フィリピン人の家族がいる方にとっては非常に便利な制度です。
フィリピン行きの航空券の用意
フィリピンへの入国には、往復航空券または第三国への出国チケットが必須です。これは入国審査の際に必ず確認される重要な書類です。
航空券手配時のポイントを以下の表にまとめました。
チェックポイント | 詳細 | 注意事項 |
往復航空券の必須性 | フィリピンから出国する航空券が必要 | 片道航空券のみでは入国できない可能性が高い |
出国便の期限 | ビザ免除期間(30日)内の出国便 | 30日を超える日付の便は不可 |
第三国への便も可 | フィリピンから他国への航空券でも可 | 陸路での出国は認められない場合がある |
航空会社の確認 | 搭乗前にチェックインカウンターで確認される | 往復券がないと搭乗拒否される可能性あり |
主要な日本の空港からフィリピンへの直行便は以下の通りです。
出発地 | 到着地 | 所要時間 | 主な航空会社 |
成田 | マニラ | 約4.5時間 | JAL、ANA、フィリピン航空、ZIP AIR |
羽田 | マニラ | 約4.5時間 | ANA、フィリピン航空 |
関西 | マニラ | 約4時間 | JAL、フィリピン航空、セブパシフィック |
中部 | マニラ | 約4.5時間 | フィリピン航空 |
福岡 | マニラ | 約3.5時間 | フィリピン航空 |
成田 | セブ | 約5時間 | フィリピン航空、セブパシフィック |
航空券は早めに予約することで費用を抑えられます。繁忙期(12月〜1月、3月〜4月、7月〜8月)を避けると、さらにリーズナブルな価格で購入できます。
eTravelの登録方法
eTravelシステムへの登録は、フィリピン入国の必須手続きです。ここでは具体的な登録手順を詳しく解説します。
登録の流れは以下の通りです。
ステップ | 作業内容 | 所要時間 |
1. アクセス | eTravel公式サイトにアクセス | 1分 |
2. 基本情報入力 | 氏名、生年月日、国籍、パスポート番号などを入力 | 3分 |
3. フライト情報入力 | 航空会社、便名、到着日時を入力 | 2分 |
4. フィリピン滞在情報 | 滞在先住所、連絡先を入力 | 2分 |
5. 健康申告 | 健康状態に関する質問に回答 | 2分 |
6. 税関申告 | 持ち込み品に関する質問に回答 | 2分 |
7. 確認・送信 | 入力内容を確認して送信 | 1分 |
8. QRコード取得 | 登録完了後、QRコードをダウンロードまたはスクリーンショット | 1分 |
登録時に必要な情報は以下の通りです。
必要情報 | 詳細 | 準備するもの |
パスポート情報 | パスポート番号、発行日、有効期限 | パスポート現物または写真 |
フライト情報 | 航空会社名、便名、到着日時、到着空港 | 航空券またはEチケット |
滞在先情報 | ホテル名と住所、または滞在先の住所 | ホテル予約確認書 |
連絡先 | フィリピンでの電話番号、メールアドレス | 現地で使用する連絡先 |
緊急連絡先 | 日本にいる家族や友人の連絡先 | 事前に確認しておく |
登録時の注意点をまとめました。
注意点 | 内容 |
登録タイミング | 出発の72時間前から登録可能、早めの登録を推奨 |
有効期限 | 登録から72時間有効、期限切れの場合は再登録が必要 |
家族の登録 | 子どもや同行者も個別に登録が必要 |
QRコードの保存 | 紙に印刷するかスマートフォンに保存、入国時に提示 |
登録内容の変更 | フライトが変更になった場合は再登録が必要 |
インターネット環境 | 登録にはインターネット接続が必要 |
eTravelの登録が完了すると、QRコードが発行されます。このQRコードは入国審査と税関検査の両方で提示を求められるため、必ず携帯してください。スマートフォンの電池切れに備えて、紙に印刷しておくとより安心です。
フィリピン入国手続き及び滞在
フィリピンに到着したら、入国審査と税関検査を通過する必要があります。また、滞在中にも注意すべき点がいくつかあります。
黄熱病予防接種証明書
黄熱病予防接種証明書(イエローカード)は、黄熱病のリスクがある国から入国する場合に必要です。
項目 | 内容 |
提示が必要な人 | 黄熱病リスク国に滞在または経由した場合(アフリカ、南米の一部) |
日本から直接渡航の場合 | 提示不要 |
予防接種の有効期限 | 接種後10日目から生涯有効 |
接種可能な場所 | 検疫所、一部の医療機関 |
費用 | 約8,000円〜12,000円 |
日本から直接フィリピンに渡航する場合は、黄熱病予防接種証明書は不要です。ただし、アフリカや南米を経由する場合は必ず接種してください。
入国審査
フィリピンの空港に到着したら、まず入国審査を受けます。
審査項目 | 確認内容 | 準備するもの |
パスポート | 有効期限、ビザの有無 | パスポート原本 |
eTravel QRコード | 事前登録の確認 | QRコードを提示(スマホまたは印刷) |
往復航空券 | 出国便の確認 | Eチケットまたは予約確認書 |
滞在先情報 | 宿泊先の住所 | ホテル予約確認書 |
滞在目的 | 観光、ビジネス、留学などの目的確認 | 口頭で説明 |
入国審査での質問例と回答のポイントをまとめました。
質問 | 回答のポイント |
“What is the purpose of your visit?”(渡航目的は?) | “Tourism”(観光)、”Business”(ビジネス)など簡潔に |
“How long will you stay?”(滞在期間は?) | “One week”など具体的な日数を |
“Where will you stay?”(どこに滞在しますか?) | ホテル名と地域を伝える |
“Do you have a return ticket?”(帰りの航空券は?) | “Yes”と答え、必要に応じて提示 |
入国審査はスムーズに進むことがほとんどですが、質問には落ち着いて正直に答えましょう。
税関申告
入国審査を通過したら、手荷物を受け取り、税関検査に進みます。
フィリピンへの持ち込みに関する規定は以下の通りです。
品目 | 免税範囲 | 超過した場合 |
タバコ | 紙巻タバコ400本または葉巻50本またはタバコ250g | 超過分に課税 |
酒類 | アルコール度数40度以上の酒類2本(各1リットル以内) | 超過分に課税 |
現金 | 10,000米ドル相当額以上は申告必要 | 未申告の場合、没収や罰金 |
香水 | 適量 | 商業目的とみなされると課税 |
土産品 | 10,000ペソ相当まで免税 | 超過分に課税 |
持ち込みが禁止されている品目は以下の通りです。
禁止品目 | 詳細 |
麻薬・向精神薬 | 処方薬を含む、医師の処方箋と英文証明書が必要 |
武器・弾薬 | 銃器、刀剣類など |
爆発物・花火 | 一切持ち込み不可 |
ポルノグラフィ | 雑誌、DVD、データなど |
偽造品 | ブランド品の模倣品など |
生鮮食品 | 肉類、野菜、果物など(一部例外あり) |
eTravelで税関申告を済ませていれば、特に申告するものがない場合は緑色の「Nothing to Declare」レーンを通過できます。申告が必要な品物がある場合は赤色の「Goods to Declare」レーンに進んでください。
フィリピン滞在中の注意事項
フィリピンに滞在する際には、いくつか気をつけるべき点があります。
安全面での注意点は以下の通りです。
注意事項 | 詳細 | 対策 |
スリ・置き引き | 観光地や混雑した場所で多発 | 貴重品は肌身離さず、バッグは前に持つ |
タクシートラブル | メーター不使用、遠回りなど | Grab(配車アプリ)の利用を推奨 |
睡眠薬強盗 | 飲み物に睡眠薬を混入される事例 | 知らない人からの飲食物は断る |
詐欺 | 両替詐欺、カジノ詐欺など | 両替は銀行や正規の両替所で |
自然災害 | 台風、地震が多い | 気象情報をこまめに確認 |
文化・マナーに関する注意点をまとめました。
項目 | 注意すべきこと | 理由・背景 |
写真撮影 | 軍事施設や政府施設の撮影は禁止 | 安全保障上の理由 |
宗教施設 | 教会やモスクでは肌の露出を控える | 宗教的配慮 |
ジェスチャー | 人差し指で人を指さすのは失礼 | 文化的タブー、唇や顎で方向を示す |
食事マナー | 音を立てて食べるのは避ける | 一般的なマナー |
時間感覚 | “Filipino Time”と呼ばれる時間のルーズさ | 文化的特徴、余裕を持つ |
健康管理に関する注意事項は以下の通りです。
項目 | 注意点 | 対策 |
飲料水 | 水道水は飲まない | ミネラルウォーターを購入 |
食事 | 屋台や衛生状態の悪い店は避ける | 清潔なレストランを選ぶ |
蚊対策 | デング熱、マラリアなどのリスク | 虫除けスプレー、長袖着用 |
日差し | 熱中症、日焼けに注意 | 帽子、日焼け止め、水分補給 |
常備薬 | 現地で薬が手に入りにくい場合も | 日本から持参する |
フィリピンでの通信手段についても確認しておきましょう。
通信手段 | 特徴 | 料金目安 |
現地SIMカード | 空港や街中で購入可能 | 1週間で200〜500ペソ(約550〜1,400円) |
ポケットWi-Fi | 日本で事前レンタル | 1日800〜1,500円 |
国際ローミング | 日本のキャリアのサービス | 1日2,000〜3,000円 |
ホテル・カフェのWi-Fi | 無料で利用可能な場所も多い | 無料〜有料(ホテルによる) |
緊急時の連絡先も控えておきましょう。
機関 | 電話番号 | 備考 |
警察 | 911または117 | 緊急通報 |
消防・救急 | 911または160 | 緊急通報 |
在フィリピン日本国大使館 | +63-2-8551-5710 | マニラ、平日9:00-12:00、13:30-17:15 |
在セブ日本国総領事館 | +63-32-231-7321 | セブ、平日8:30-12:00、13:30-17:15 |
在ダバオ日本国総領事館 | +63-82-221-3100 | ダバオ、平日8:30-12:00、13:30-17:15 |
まとめ
フィリピン渡航には、ビザの確認、航空券の手配、eTravelの登録、そして現地での入国手続きなど、いくつかの重要なステップがあります。
日本国籍の方は30日以内の滞在であればビザ不要ですが、往復航空券とパスポートの残存有効期間(滞在日数+6ヶ月以上)が必須です。長期滞在や留学の場合は、目的に応じたビザや許可証が必要になります。
eTravelは出発の72時間前から登録可能で、入国時に必ずQRコードの提示を求められますので、忘れずに登録を完了させてください。スマートフォンに保存するだけでなく、紙に印刷しておくとより安心です。
フィリピン滞在中は、スリや詐欺などの安全面に注意し、現地の文化やマナーを尊重することが大切です。また、飲料水や食事、蚊対策などの健康管理にも気を配りましょう。
この記事で紹介した情報を参考に、しっかりと準備を整えれば、フィリピン渡航への不安は期待へと変わるはずです。ビジネスチャンスの探索でも、語学留学でも、観光でも、充実したフィリピン滞在になることを願っています。さあ、次はあなたがフィリピンで新しい一歩を踏み出す番です。