フィリピンの平均月収は日本の何分の1?生活費や物価とのリアルな関係

2025.10.06記事

「フィリピンで働いたらどれくらい稼げるんだろう?」「留学中のアルバイトって現実的?」「移住したら日本の貯金でどのくらい豊かに暮らせる?」

フィリピンへの留学や移住、あるいは現地採用で働くを考えるとき、多くの方が気になるのが「実際の収入」です。ネットで調べると「給料が安い」という情報は出てきますが、それが具体的にどういう生活を意味するのか、日本との比較でどう理解すればいいのか、イメージしづらいのではないでしょうか。

この記事では、フィリピンの平均月収を日本円に換算し、地域別・業種別の違いを詳しく解説します。さらに、その収入で実際にどんな生活ができるのか、物価や生活費とのリアルな関係まで踏み込んでお伝えします。

日本の給与と比較すると何分の1?

日本円に換算した場合の平均月収

フィリピンの平均月収は、統計データによれば約20,000〜25,000ペソ(約6万〜7.5万円)程度とされています。一方、日本の平均月収は約30万円前後ですので、単純計算で日本の約4分の1から5分の1という水準です。

ただし、この数字だけを見て「フィリピンは生活が厳しい」と判断するのは早計です。なぜなら、フィリピンの物価水準も日本より大幅に低く、例えば外食費は日本の3分の1程度、家賃も地方であれば月1万円台から見つかるケースもあるからです。

重要なのは「収入と支出のバランス」です。現地の平均的な労働者は、この収入の範囲内で家族を養い、日々の生活を送っています。都市部と地方、職種によっても大きく状況が異なるため、次の章で詳しく見ていきましょう。

業種・職種別の比較

フィリピンの給与は、業種や職種によって大きな開きがあります。例えば、IT技術者やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界で働く人材は月50,000ペソ(約15万円)以上を稼ぐことも珍しくありません。一方、サービス業や農業従事者の場合は最低賃金に近い水準であることが多く、月15,000〜20,000ペソ(約4.5万〜6万円)程度となります。

また、外資系企業や日系企業に勤める場合、現地企業よりも高い給与水準が期待できます。マネージャークラスになると月100,000ペソ(約30万円)を超えることもあり、日本と遜色ない生活水準を維持できるケースも少なくありません。

地域別:平均月収と生活費・物価の関係

家賃・食費・交通費の目安

フィリピンでの生活費は、地域によって大きく変わります。以下の表で、主要な生活費項目の目安をご紹介します。

項目都市部(マニラ・セブ)地方(ダバオ・イロイロなど)
ワンルーム家賃(月)15,000〜30,000ペソ(約4.5万〜9万円)5,000〜15,000ペソ(約1.5万〜4.5万円)
食費(1食・ローカル)60〜150ペソ(約180〜450円)40〜100ペソ(約120〜300円)
食費(1食・レストラン)200〜500ペソ(約600〜1,500円)150〜350ペソ(約450〜1,050円)
交通費(1日)100〜200ペソ(約300〜600円)50〜100ペソ(約150〜300円)
光熱費(月)3,000〜5,000ペソ(約9,000〜1.5万円)2,000〜3,500ペソ(約6,000〜1万円)

この表からわかるように、都市部と地方では生活費に2倍以上の差が生じることもあります。同じ月収でも、住む場所によって生活の質は大きく変わってくるのです。

都市部(マニラ、セブ)

マニラやセブといった大都市圏では、ビジネスチャンスや雇用機会が多い反面、生活費も高くなります。特にマニラのマカティやBGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)といったビジネス地区では、コンドミニアムの家賃が月30,000ペソ(約9万円)を超えることも珍しくありません。

しかし、都市部では平均月収も高めです。IT企業やBPOで働く場合、月30,000〜60,000ペソ(約9万〜18万円)を得られるため、収入と支出のバランスを取りやすい環境といえます。また、ショッピングモールやレストラン、医療施設などのインフラが充実しており、日本と似た便利な生活を送ることができます。

外食文化が根付いているため、ローカルな食堂を利用すれば1食100ペソ(約300円)以下で済ませることも可能です。ただし、日本食レストランや高級レストランを頻繁に利用すると、月の食費は日本と変わらない水準になることもあります。

地方(ダバオ・イロイロなど)

ダバオ、イロイロ、バコロドといった地方都市は、都市部に比べて生活費が大幅に安く抑えられます。家賃は月10,000ペソ(約3万円)以下でも快適なアパートを借りられ、食費も1日300ペソ(約900円)程度で十分に満足できる食事が可能です。

地方では平均月収が15,000〜25,000ペソ(約4.5万〜7.5万円)程度と都市部より低めですが、物価も連動して安いため、実質的な生活水準は決して低くありません。むしろ、リモートワークで日本円の収入を得ている方や、年金生活者にとっては、地方都市の方が豊かな生活を送れる可能性が高いといえます。

交通手段も、ジプニー(乗合バス)やトライシクル(三輪タクシー)を使えば1回20〜50ペソ(約60〜150円)程度で移動できます。都市部のような渋滞もなく、ゆったりとした時間の流れの中で生活できるのが地方の魅力です。

業界別に見るフィリピンの給与水準

IT・BPO(コールセンター・ITサービス)

フィリピンはBPO大国として知られ、特にコールセンター業界は雇用の受け皿として重要な役割を果たしています。英語力の高さを活かし、欧米企業のカスタマーサポートや事務処理を担う人材が数多く働いています。

職種月収目安(ペソ)月収目安(円)
コールセンタースタッフ(新人)20,000〜30,000約6万〜9万円
コールセンタースタッフ(経験者)35,000〜50,000約10.5万〜15万円
ITエンジニア(ジュニア)30,000〜50,000約9万〜15万円
ITエンジニア(シニア)60,000〜100,000約18万〜30万円
プロジェクトマネージャー80,000〜150,000約24万〜45万円

この業界の魅力は、学歴や職歴が浅くても英語力とコミュニケーション能力があればチャンスをつかめる点です。フィリピンの大卒初任給が15,000〜20,000ペソ程度であることを考えると、BPO業界は比較的高収入を得られる選択肢といえます。

教育・医療系の収入

教師や看護師といった専門職は、フィリピンでも一定の社会的地位がありますが、給与水準は必ずしも高くありません。公立学校の教師の初任給は月20,000ペソ(約6万円)程度、看護師も同様の水準からスタートします。

職種月収目安(ペソ)月収目安(円)
公立学校教師(初任)20,000〜25,000約6万〜7.5万円
私立学校教師25,000〜40,000約7.5万〜12万円
看護師(病院勤務)20,000〜35,000約6万〜10.5万円
医師(勤務医)50,000〜100,000約15万〜30万円
医師(開業医)100,000〜約30万円〜

このため、多くの看護師や医療従事者が海外での就労を目指します。中東や欧米諸国では、フィリピン人医療従事者の給与が本国の数倍になることも珍しくないため、国内での人材不足が社会問題にもなっています。

観光・サービス業の現場給与

ホテル、レストラン、小売店などのサービス業は、フィリピン経済の重要な柱ですが、給与水準は全体的に低めです。多くの場合、最低賃金に近い水準での雇用となり、チップ収入が重要な収入源となることもあります。

職種月収目安(ペソ)月収目安(円)
ファストフード店員12,000〜18,000約3.6万〜5.4万円
レストランウェイター15,000〜25,000(+チップ)約4.5万〜7.5万円(+チップ)
ホテルスタッフ18,000〜30,000約5.4万〜9万円
ショッピングモール販売員12,000〜20,000約3.6万〜6万円
ツアーガイド20,000〜35,000(+チップ)約6万〜10.5万円(+チップ)

観光地のホテルや高級レストランでは、外国人観光客からのチップが月収を大きく押し上げることもあります。特に英語でのコミュニケーションが得意なスタッフは、チップ収入も含めれば実質的に月30,000ペソ(約9万円)以上を稼ぐケースもあります。

フィリピンの給与事情が示す社会背景

貧富の格差と社会的影響

フィリピンの給与構造を見ると、社会全体に存在する大きな経済格差が浮き彫りになります。富裕層と貧困層の収入差は極めて大きく、上位10%の富裕層が国全体の富の約40%を占めているというデータもあります。

都市部の高級コンドミニアムに住む外資系企業の管理職が月収150,000ペソ(約45万円)以上を稼ぐ一方で、地方の農村部では1日の収入が200ペソ(約600円)に満たない家庭も少なくありません。この格差は教育機会の差にも直結し、質の高い私立学校に通える子どもと公立学校で学ぶ子どもの間で、将来の就労機会にも大きな開きが生じています。

また、この格差は地理的な面でも顕著です。首都圏マニラと地方都市、さらには農村部との間には、インフラ整備や雇用機会において大きな隔たりがあります。そのため、より良い収入を求めて地方から都市部への人口流入が続き、マニラなどの大都市では交通渋滞や住宅不足といった都市問題が深刻化しています。

海外出稼ぎ労働者(OFW)の存在

フィリピン経済を語る上で欠かせないのが、OFW(Overseas Filipino Workers:海外出稼ぎ労働者)の存在です。現在、約200万人以上のフィリピン人が海外で働いており、彼らが母国に送金する額は年間数兆円規模に達します。この送金額はフィリピンのGDPの約10%を占め、国家経済の重要な支柱となっています。

なぜこれほど多くのフィリピン人が海外で働くのでしょうか。答えは明確で、海外での収入が本国の数倍から十数倍になるためです。例えば、中東で働く建設作業員は月50,000〜80,000ペソ(約15万〜24万円)、香港やシンガポールで働く家事労働者でも月40,000ペソ(約12万円)以上を稼ぐことができます。看護師がアメリカで働けば、月収は200,000ペソ(約60万円)を超えることも珍しくありません。

この海外就労は、フィリピン社会に複雑な影響を与えています。経済的には家族の生活水準向上や子どもの教育投資につながる一方で、長期の家族離散や子どもの心理的影響といった社会問題も指摘されています。それでも、国内の限られた雇用機会と低い給与水準を考えると、多くのフィリピン人にとって海外就労は家族の未来を切り開く現実的な選択肢となっているのです。

まとめ

フィリピンの平均月収は日本の4分の1から5分の1程度の水準ですが、それだけで生活の質を判断することはできません。物価や家賃も日本より大幅に安いため、現地の収入でも十分に生活を営むことは可能です。

重要なポイントをまとめると、都市部と地方では収入も生活費も大きく異なり、マニラやセブでは月30,000ペソ(約9万円)以上の収入があれば快適な生活ができます。地方都市なら月20,000ペソ(約6万円)程度でも余裕のある暮らしが可能です。業種別では、IT・BPO業界が比較的高収入で、月50,000ペソ(約15万円)以上を稼ぐ人材も多く存在します。

一方、サービス業や農業従事者の給与は低く、多くのフィリピン人が海外での就労を選択する背景には、この国内での給与格差があります。留学や移住を考えている方は、自分の収入源(日本円の貯金、リモートワーク、現地就労など)と滞在予定地域を照らし合わせて、具体的な生活プランを立てることが大切です。

フィリピンは「低賃金の国」という単純なイメージでは語れない、多様な経済状況と生活スタイルが共存する国です。日本からの移住者やリモートワーカーにとっては、日本円の収入を活かしながら高い生活水準を享受できる魅力的な選択肢となるでしょう。

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