フィリピンへの医学部留学に向くタイプは?気になる費用も

2026.01.29記事

医師を目指す方のなかには、「日本の医学部受験に合格できない」「私立医学部の学費が高額で支払えない」と悩んでいる方もいるでしょう。実は、他国に劣らない教育レベルを誇るフィリピンの大学に、医学部留学をする人がいます。講義は英語で行われ、費用も日本の私立大学と比べて安く抑えられることが魅力です。

本記事では、フィリピンの医学部留学の特徴や向いている人のタイプ、そして実際に日本の医師になるまでの具体的な流れなどを解説します。

フィリピンの医学部留学とは?

フィリピンの医学部留学とは、フィリピンの大学で医学教育を受け、医師資格取得を目指す進学ルートです。

フィリピンでは医学部に進学する前に、まず4年制大学を卒業する必要があります。その後、NMAT(National Medical Admission Test)を受験し、医学部(Doctor of Medicine/MD課程)に進学。そこでさらに4年間学ぶという流れです。

また、学費が日本の私立医学部と比べて安く、年間40〜90万円程度で医学教育を受けられることから、コストパフォーマンスの高い選択肢として注目されています。

日本の医学部との違い

日本とフィリピンの医学部には、入学方法、教育期間、学費など、多くの違いがあります。

項目日本フィリピン
入学方法高校卒業後、大学入試で直接医学部に入学4年制大学卒業後、NMATを受験して医学部に入学
教育期間6年間(医学部のみ)8年間(大学4年+医学部4年)※
授業言語日本語英語
国公立の学費(総額)約350万円(6年間)150〜350万円(8年間)
私立の学費(総額)1,850〜4,620万円(6年間)350〜800万円(8年間)
入試の難易度非常に高い(偏差値62.5以上が一般的)試験自体の難易度は比較的やさしい

※ 教育期間自体は8年ですが、日本で医師になるためには実地修練や国家試験の受験などが必要となるため、医師になれるまでの期間は短くても11〜12年をみておきましょう。

フィリピンの医学部は、教育入試の競争率が日本より低く、学費も抑えられるというメリットがあります。また、英語で医学を学ぶことで、将来的に国際的なキャリアを築くという選択肢も出てくるでしょう。

フィリピンの医学部留学が向くタイプ

どのような性格や目的、バックグラウンドを持った人が、フィリピンの医学部留学に適しているのでしょうか。ここでは、フィリピンへの医学部留学が向いている人のタイプをご紹介します。ご自身の現状や目標と照らし合わせながら、確認してみてください。

日本の医学部受験で一度つまずいた人

日本の医学部受験は年々難化しており、浪人しても合格できないケースが増えています。場合によっては、国公立医学部だと倍率が10倍を超えることも珍しくなく、私立医学部でも偏差値62.5以上が一般的な基準です。

日本では「医学部浪人=人生の失敗」と感じてしまう方も少なくありませんが、フィリピン留学という選択肢を知ることで、「海外ルートで医師を目指す」という前向きな道が見えてくるでしょう。

私立医学部の学費が高すぎると感じている人

日本の私立医学部の場合、学費は6年間で1,850〜4,620万円にも達します。これは一般的な家庭にとって非現実的な金額であり、医師になりたくても経済的な理由で諦めざるを得ない方も多いです。フィリピンの医学部なら、国公立であれば日本の私立医学部の1割程度の費用で医師を目指せます。

節約した費用を、帰国後の国家試験対策や研修資金に充てることもできるでしょう。

フィリピンの医学部留学から日本で医師になるまでの流れ

フィリピンで医学を学び、日本で医師になるまでのステップを詳しく見ていきましょう。

1. 4年制大学を卒業する

フィリピンで医師を目指す最初のステップとして必要なのが、4年制大学を卒業することです。一般的には、生物学や看護学、医学技術といった理系学部に在籍して、基礎的な自然科学の知識を修得します。学士号を取得していれば専攻は問われないので、日本の大学を卒業してからフィリピンの医学部を目指すことも可能です。

2. NMATを受験し、医学部(MD課程)に進学する

4年制大学を卒業して学士号を取得したら、フィリピンの医学部進学試験である「NMAT(National Medical Admission Test)」を受験し、4年制の医学部であるMD課程へと進みます。

MD課程の主なカリキュラムは、基礎医学→臨床医学入門→専門臨床→臨床実習(クラークシップ)という流れです。すべての授業や試験が英語で行われるため、毎日膨大な予習や復習、レポート提出に追われるタフな生活が続きます。これを乗り越える強い意志と集中力が、何より求められるでしょう。

3. 卒業後にインターンシップ(PGI)

MD課程を卒業したら、1年間のポストグラデュエートインターンシップ(PGI)に入ります。卒業しているため、インターンシップ中の扱いは「学生」ではなく「見習い医師」になり、クラークシップ時よりも責任が重くなることが特徴です。

医療従事者としてのプロ意識を養うため精神的にも体力的にもハードですが、自らの成長を実感できるでしょう。

4. フィリピン医師国家試験(PLE)を受験する

フィリピンで医師として働く場合は、インターンシップを経たあとに、フィリピンの医師国家試験である「PLE」の受験が必要です。

一方で、日本で医師免許を取得するプロセスにおいて、PLEの合格は必須条件ではありません。しかし、日本での国家試験の受験資格認定にて、PLEに合格すると審査にプラスに働く可能性があります。医師として海外進出する際にも役立つはずなので、合格しておくことがおすすめです。

5. 日本の医師国家試験予備試験に合格する

海外の大学を卒業した人が日本で医療行為を行うには、特別な場合を除き、医師国家試験を受ける前に「医師国家試験予備試験」への合格が必要です。試験は、海外での学習内容や実技スキルが、日本の医学部と同等であるかを判定するために行われます。

海外生活で培った知識をベースに、今度は日本の医療システムや用語に適合させるための自習と国試対策が要求される、シビアな試験です。

6. 1年以上の実地修練を経て、受験資格を得る

予備試験に合格したあとは、日本の指定された大学病院などの医療機関において、1年以上の実地修練を行います。実地修練は、指導医の監督下で内科・外科・産婦人科・小児科などをローテーションしながら、診療・公衆衛生の実務経験を積む期間です。

1年以上の臨床訓練を修了することで、ようやく本試験である「日本の医師国家試験」の正式な受験資格が交付されます。

7. 日本の医師国家試験に合格する

受験資格を手にしたあと、いよいよ日本の医師国家試験の本試験を受験します。試験は日本語で実施されるため、英語で身につけた知識を日本の医学用語や診断基準に翻訳し、頭の中で整理し直す対策が欠かせません。合格すれば、晴れて日本での医師としての活動が認められます。

なお、具体的な受験の条件や必要な手続きに関する詳細情報は、厚生労働省の公式ウェブサイトより確認して、準備を進めましょう。

フィリピンの医学部留学にかかる費用

ここからは、フィリピンの医学部留学にかかる費用について解説します。

下記の表は、医学部に入学してから卒業するまでの4年間にかかる費用の目安です。前段として修了しなければいけない4年制大学の費用や、試験にかかる費用などは含まれていないので、別途計算しましょう。

カテゴリー項目国公立私立
学費授業料150〜300万円150〜500万円
教材費12〜32万円
実験・臨床実習費20〜50万円20〜60万円
白衣・医療器具代2〜5万円
入学金2,000〜5万円3〜15万円
生活費滞在費96〜288万円
食費48〜115万円
光熱費・水道代67〜110万円
日用品代14〜24万円
通信費13〜19万円
交通費14〜24万円
交際費・娯楽費24〜72万円
その他渡航費3.5〜10万円
保険・医療費88〜104万円
ビザ関連費用15〜35万円
健康診断・予防接種費用1〜10万円
合計約567〜1,203万円約570〜1,423万円

フィリピンの医学部留学で失敗しないための注意点

フィリピン医学部留学には大きな将来性がありますが、失敗しないためには以下の点に注意が必要です。

日本の医師国家試験の受験資格を必ず確認する

海外の医学部を卒業して日本の医師免許を得るには、厳格な基準で審査されます。進学するフィリピンの大学が、厚生労働省の規定する受験資格要件を満たしているかを必ず事前に確認しましょう。認定対象から外れている大学を選んでしまうと、卒業後に日本の国家試験を受けられないという、最悪の事態になりかねません。

関係省庁の最新ガイドラインを読み込み、大学の教育体制やカリキュラム実績をプロのエージェントと綿密に精査することが重要です。

学費の安さだけで決めない

学費の安さだけで出願先の大学を決めることは、極めて危険です。フィリピン国内には多数の医学部が存在しますが、学校ごとに教育水準や現地の国家試験合格実績、実習環境に差があります。

安さを優先した結果、講義の質が低くて進級試験に合格できなかったり、設備の整っていない病院での実習を強いられたりするトラブルも否めません。卒業率の高さや留学生のサポート体制などを多角的に調査し、真に高い学習効果が得られる教育機関を見極めましょう。

卒業後の進路を最初から考えておく

渡航する前から、卒業後にどの国で医師として活躍したいかを明確にしておきましょう。日本に帰国してすぐに予備試験を受けるのか、あるいはフィリピン現地の臨床病院で経験を積んでから他国への展開を目指すのかによって、在学中の勉強方針は異なります。

目的がはっきりしていれば、NMATの目標スコアやインターン先の選定など、逆算してスケジュールを組めるでしょう。

正しい情報源から情報を集める

インターネット上には、個人の古いブログ記事や、事実と異なる誇張された情報が散見されます。医師法や厚生労働省の審査基準は定期的にアップデートされるため、不正確な噂話を盲信することは危険です。必ず大学の公式サイトや、官庁の一次情報、実績ある留学専門エージェントから最新データを収集する癖をつけましょう。

フィリピンの医学部留学に関するよくある質問

最後に、よくある質問にお答えします。

Q1. フィリピンの医学部を卒業すれば、日本で医師になれますか?

卒業しただけでは医師になれません。厚生労働省の審査を経て受験資格を得て、日本の医師国家試験に合格する必要があります。フィリピンの医学部を卒業しても、自動的に日本の医師免許が得られるわけではありません。

Q2. 英語が苦手でもフィリピン医学部留学はできますか?

可能ですが、入学前に最低限の英語力(TOEFL iBT 80点以上またはIELTS 6.0以上)を身につけておくことが推奨されます。多くの大学で、入学時に英語力の証明を求められるでしょう。

英語力が足りない場合、語学学校で必要な英語力を養う方法もあります。大学によっては付属の語学学校もあるので、そちらから入ると大学入学もスムーズでしょう。

Q3. 卒業までに何年かかりますか?

医学部自体は、ストレートに進めば4年で卒業できます。ただし、医学部入学には先に4年制の大学を出ている必要があることや、インターンシップ(PGI)、試験対策などで、卒業までに9〜10年は見積もっておいたほうがよいでしょう。

さらにそこから、日本の医師国家試験に挑むための期間が発生するので、“日本で医師になるまで”と考えると、4年制大学入学から12〜13年ほどみておく必要があります。

まとめ:LALALAで留学を成功させよう

フィリピンへの医学部留学は、日本の医学部受験でのつまずきから再起をかける人や、低予算で医師の夢を叶えたい人にとって、おすすめできる手段です。一方で、帰国後の医師免許の獲得プロセスなど、事前の専門知識や緻密な人生設計が求められます。

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